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乳癌の薬物療法による関節痛の治療

 

平成18年に開業して以来、「乳癌術後のホルモン療法による関節痛の治療」を、前 横浜市立大学付属市民総合医療センター乳腺外科 部長、現 東京医科大学乳腺科 主任教授の石川孝先生との共同研究で行っております。

令和4年の現在、乳癌術後のホルモン療法で関節痛を持つ1400人以上の患者様を治療させていただきました。

その成果を日本乳癌学会学術総会、日本整形外科学会学術総会はじめ他学会でも発表してまいりました。整形外科医ですが乳癌学会正会員にもなりました。

この関節痛はエストロゲンという女性ホルモンの減少で起こりますが、なぜ起こるのかが分かっていません。

日本では乳腺外科医、海外では腫瘍内科医(オンコロジスト)から投薬され、副作用が出たら投薬を中止するという原則のもと「そんなに痛いならお薬をやめましょうか。」という話になるようです。

関節痛を我慢して内服を続けるか、薬をやめると再発の心配があるので、患者様が大変お困りである事が分かりました。

当初、整形外科医が治療にあたった事がない関節痛のため、まずはしっかり診察させていただき、関節痛がどんなものなのかを分類していきました。

分かったことはエストロゲンが低下すると「腱の炎症」が起こるという事でした。

手の腱鞘炎の圧痛点

 

閉経後の乳癌で投薬されるアロマターゼ阻害剤(アリミデックス、フェマーラ、アロマシン)では手指屈筋腱腱鞘炎(ばね指)、閉経前の乳癌で注射されるLH-RHアゴニスト(ゾラデックス、リュープリン)、投薬されるタモキシフェン(ノルバデックス)では肩関節周囲炎(五十肩)が多く発生するようです。

ばね指、五十肩は痛いので、薬をやめようという事にもなると思いますが、幸いな事にばね指、五十肩は整形外科的治療で改善するため、当院の治療で改善して、薬を継続しています。

朝の手のこわばりやエストロゲンが低下することによる更年期障害の症状は改善させる事はできませんでした。

しかしながら、多くの患者さんは「痛み」で内服をやめようとは考えるとの事ですが、「こわばり」や「ほてり」は内服をやめるほどではないとの事でした。

また閉経後の乳癌の患者様の関節痛は変形性膝関節症や変形性脊椎症が出る年代のため、レントゲンで変形が見られる場合は副作用ではない可能性もあります。

こちらも整形外科的治療で改善します。整形外科的治療は投薬、注射、理学療法などを行います。

ばね指の注射に関しては再発率10%程度と少なく、最短で再発した患者様も約半年後でしたから、満足度の高い治療となっております。

関節痛でお困りの方は一度診察させていただければと思います。

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